2次試験カウントダウン日記 #残2日
「おじさんみたいな人なんて、誰も好きになってくれないよ〜」
「……」
冗談めかした口調。へにゃっとした笑い声。寸分違わずいつも通りのホシノだ。
……これがはじめての会話であるなら、ホシノ以外のアビドスの子達にホシノについての話をいっぱい聞いていなかったなら、そう信じて疑わなかっただろう。
無意識に、左手をホシノの肩に伸ばしていた。このままでは彼女が凍え死んでしまいそうな気がしたから。
しかし、その手はホシノの右手に素早く掴まれてしまった。
「今は……先生のハグは、いらないかなぁ〜……」
顔はこちらに向いてなかった。しかしいつも通りの声。
彼女の『ここまで』という線引きが、ガッと引かれたような音がした。
そうじゃない。ここで私がしてほしいのはそういうのじゃないんだ、と。ここは先生なりに考えを巡らす必要があった。
なら……
「じゃあ、一緒にコンビニでも行こうか」
「……うん、いいね」
立ち上がると、ホシノもそれに応じるようについてきた。
「おじさん、コンビニの入り口でたむろするアレとかやってみたいな〜」
「シャーレの私にそんなことは……いや、アリだね」
ポツポツと光る街灯を頼りに、二人は行く。