共テカウントダウン日記 #残30日
おい、こいつは誰なんだ?
今ここで回り続ける思考のタービンをよそに帰宅早々カバンを自室に運び、手を洗い、パジャマに着替え無意識にルーティンのオルゴールを奏で続けるこいつは誰なんだ?
よく思考が行動にうまく繋がってくれない、電気信号がうんともすんとも言わないことがある、それは目の前にいる自分が自分とは別の自分だから?
相変わらず誰なんだ?
あらゆる怨念を唱え続けとっくに4階の窓に足を掛けている思考領域内で観測され得るパレードを完全に無視して晩飯にいただきますしているこいつは誰なんだ?
「面白いねぇ、興味深いねぇ」
あぁ、この声なら知ってる。認知は安心。無知は恐怖。時に力なり。
「どうやら君の人格はセレン軸にもテルル軸にも解離しているようだ。電子雲を彷彿とさせるねぇ。己の双極性を認知するこのボタンを押してみるかい?押したら君はしばらく記憶を失って、真実の街角で──またphase-0からやり直しではあるが──目を覚ますことになる。その時、目に映るもの全てが『波動』によってしか認識できなくなっていたら、実験は成功だ。さぁ、もう一度尋ねる。……このボタンを押すかい?」
あぁ、勿論だ。夕日のように沈みゆく彼女を緑色の閃光で突き刺したあの日から、覚悟は出来ている。選択肢にNoはない。
思考通りに己の体は動く。当然だ。彼女も、ボタンを押すこの手も、全てこの思念の中で生じたものだから。
「それじゃ、行ってらっしゃい。トレーナー君」
それでも、この世に安寧の船は無いって?
いや、スコリアならとうに砕け散った。
オチ
「覚えてくれる」
「覚えてくれてる」
「覚えててくれてる」
↑これ全部ニュアンス違うのすごくね?
また明日!